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執筆者の写真Kana Grace

自閉症って個性

更新日:2023年3月28日

インタヴュアー・筆者:Kana

自閉症当事者であり自閉症研究者・擁護者・メンター

(詳細はプロフィールを参照)。



写真は首里城の絵の前で笑顔の千裕くんとお父さん。


柳生千裕くんは、日本の兵庫県西宮市に住む中学一年生。弟と妹がいる5人家族の長男だ。


彼は、カラフルな幾何学模様が特徴の絵を描く才能に満ちたアーティストとして注目を浴びている。彼の幾何学模様の絵は、首里城を描いた時から始まった。そして彼のノートルダム大聖堂の絵は、今年の春にパリの消防団に寄贈される(以下の写真を参照)。


写真はノートルダム大聖堂の絵をもって笑顔の千裕くん:

千裕くんは、パターンが好きで、特に「角がなく」「滑らか」な丸の形が好きだと言う。彼の絵には動物が登場することが多く、「生き物」が好きだと語る。絵を描いているときは、特に何かを考えているわけではなく、ただ楽しく描いていますという千裕くん。


千裕くんは自閉症当事者でもあり、弟の拓真くんはADHDの診断をもらっている。お父さんの尚央さんは、二人の将来について、特に心配はないと語る。今できることをやっていくことを大切にしているそうだ。


千裕くんとお父さんの尚央さんは、自閉症を個性と捉えていると語る。

千裕くんは、これまで作業療法士・カウンセリング・放課後デイサービスなどの外部からのサポートを受けてきた。1年生から5年生までは支援学級と普通学級にいて、6年生からは普通学級にいるという。彼は、同じ年齢の子と話すのが苦手だと話す。特に友達が欲しいとは思っておらず、読書や一人でできるゲームなどをすることが好きだという。当事者が何を望んでいるかはサポートを考えていく上でとても重要だ。


千裕くんは学校が好きで、特に数学が好き。とても感動する作品を描く彼だが、テーマが決められいる図工は苦手だそう。尚央さんは、「みんなと同じものを求める教育が千裕には難しい」と話す。みんなと同じを好む日本の文化が教育にも影響している。全ての人を同じ測りで測ること自体が間違っていると筆者は考える。例えば、千裕くんの絵の才能は、同じアートではあっても図工の評価では測れない。これは、数学や語学など他の分野における才能に関しても同じだ。テストでは測れない才能があり、学校での成績だけでは個人の才能は測れない。これは特に自閉症などの発達障がい当事者には特に当てはまることだ。


千裕くんは、学校から帰宅後は宿題をする。とても中学生らしい! 絵を描くときは、尚央さんが帰宅後。尚央さんがいつも隣に座って、千裕くんは絵を描いている。千裕くんは絵を描くことが、「一人では進まない」と語る尚央さん。彼は、尚央さんと絵とは関係のないことを話しながら絵を描いているのでそう。このようにルーティン化している生活は自閉症者にとって良い環境なのだ。


千裕くんが絵を描き始めたのは4年生の時で、その頃から、尚央さんは、彼の絵をSNSで発信している。SNSでは、千裕くんが自閉症であることを公表している。このことに関して、尚央さんは、「自閉症は隠す必要がないと考えている」と言う。また、尚央さんは「息子のことを知って、こんなこともできるのだという可能性を知ってほしい」と話す。尚央さんは、アーティストにとってSNSは欠かせないものだと考えており、かなり頻繁にチェックしているそう。このように、お父さんと二人三脚でアーティストとして成長し続けるちひろくんは、とても環境に恵まれていると言えそうだ。


千裕くんが自閉症の診断をもらうことになったきっかけは、保育所の先生からの自閉症の疑いがあるという助言。在住の市の機関で小学校までには診断を受け、その後も市の機関から、サポートを受けてきた。学校や地域の中で偏見を感じたことはないそう。SNSを始めたばかりの頃にあった中傷的なメッセージもメディアに取り上げられるようになってからは少なくなったそう。


柳生さん親子とお話しし、自閉症研究者・メンター・擁護者として、私は以下のことが千裕くんの才能を引き出してきたのだと感じます:


自閉症を個性と捉えること。
自閉症者の得意なことに気づくこと。
また当事者の得意なことを他の人たちにも知ってもらうこと。
適切なサポートを受けること。
みんなと同じではなく、「自分らしく」を求めること。

家族のみでなく、当事者が周りにいる方は、その個人の得意に気づいたり、周りに合わせるのではなく、その人らしさを追求するようなサポートが大切ですね。


千裕くん、お父様、インタビューを受けていただきありがとうございました。今後のご活躍も応援しております。






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